はじめてのAWS Snowcone – (12) Snowconeジョブの物流と請求について
しばたです。
はじめてのAWS Snowconeシリーズ最後の記事として今回試したジョブにおけるデバイスの物流および費用の請求について触れておきます。
目次
- はじめてのAWS Snowcone - (1) はじめに
- はじめてのAWS Snowcone - (2) 事前準備から注文まで
- はじめてのAWS Snowcone - (3) AWS OpsHub for Snow Family のインストール
- はじめてのAWS Snowcone - (4) デバイスの配送から受け取りまで
- はじめてのAWS Snowcone - (5) ネットワーク設定とロック解除
- はじめてのAWS Snowcone - (6) NFSサーバーのセットアップ
- はじめてのAWS Snowcone - (7) EC2のセットアップ
- はじめてのAWS Snowcone - (8) AWS DataSync Agentのセットアップ
- はじめてのAWS Snowcone - (9) その他機能、デバイスの停止
- はじめてのAWS Snowcone - (10) CLIでSnowconeデバイスを操作する
- はじめてのAWS Snowcone - (11) デバイスの返却からS3インポートまで
- はじめてのAWS Snowcone - (12) Snowconeジョブの物流と請求について
Snowconeジョブの物流に関する基本
はじめにSnowconeジョブにおけるデバイス配送などの物流面の基本は以下のドキュメントに記載されています。
このドキュメントから主要な点をいくつか紹介します。
1. AWS Snowconeは利用者の国内でのみ利用可能
日本でSnowconeを利用する分にはあまり深く考えなくても大丈夫なのですが、Snowconeはジョブを作成するリージョンに基づいて利用可能な国が決められているとのことです。
(ちなみに具体的なリストは公開されていない模様)
要はアメリカ国内のリージョンでジョブを作成した場合はヨーロッパに配送できないといった制約があり、まあ、これはシンプルに物流の制限によるものでしょう。
Snowconeはジョブ作成時に返却先も自動で決定されるためユーザーが意識する必要はありませんが、例えば東京に発送して返却はアメリカへ送るといった事もできません。
Snowconeデバイスは利用者の国に閉じた利用しかできないとお考えください。
2. 配送業者と配送計画
ドキュメントによるとSnowconeデバイスは全世界でUPSによって配送されるとありますが、実際には日本では西濃運輸が配送業者となっていました。
ドキュメントと実体が食い違う理由は不明ですがSnowballデバイスの日本における配送業者[1]が西濃シェンカー(DB Schenker)ですのでそれに関連してるのかもしれません...
そして国によっては通常配送(Standard shipping
)の他に速達(Express shipping
)が選べるのですが、日本では通常配送のみ利用可能でした。
配送に際し着日指定はできません。
配送日数に関してもAWSとして確約した期間などは無く、西濃運輸で小箱一つを送るのにかかる一般的な日数がかかると考えてください。
ちなみにですが、デバイス注文時に追跡番号を入手できるので直接西濃運輸に連絡して着日の調整をするくらいなら多分できるはずです。[2]
請求の基本
本日時点でSnowconeデバイスの利用には以下の費用がかかるとされています。
内容 | AWS Snowcone | AWS Snowcone SSD | 備考 |
---|---|---|---|
ジョブ1件当たりのサービス料 | 60 USD | 150 USD | 1ジョブ≒1注文 5日間の利用費込み |
1日当たりの利用費 | 6 USD/day | 15 USD/day | |
ロストフィー(損耗費) | 2000 USD | 5000 USD | |
配送料 | 120 USD | 120USD | 国により異なる 詳細は後述 |
1つのジョブ(≒注文)あたり5日分の利用費込みのサービス料と、6日目以降の利用において日別の利用費がかかります。
使用中にデバイスを破損してしまった場合は別途損耗費を支払う必要がありますが、実際にデバイスに触れてみた限り 余程のこと が無い限り破損することは無いと思います。
デバイス配送料については後で触れます。
日程の詳細
次に今回私が試したジョブの一連の日程を以下に公開します。
運が良いのか悪いのか かなりイレギュラー な事態が起きまくっているのであまり皆さんの役に立たないかもしれません。
ただ、ネタとしては面白いので発生した事象と気づきを共有していきます。
1. AWSメンテナンスによる配送の遅れ
2021年12月11日にジョブを作成しデバイスを注文したのですが、デバイスが発送されたのが12月15日でした。
こちらはサポートに問い合わせたところAWSのシステムメンテナンスにより配送が止められていることが後から判明しました。[3]
通常であればもっと早いタイミングで配送されるはずです。
また、デバイスの返却に関しても2022年1月5日に集荷し1月8日に西濃運輸の営業所についたものの1月12日まで営業所止まりのままでした。
こちらについては原因は不明なものの1月12日時点でPersonal Health Dashboardに「配送遅延」のお知らせが出ていました。
この時期は関東圏が大雪でてんやわんやしてたのでおそらくは物流側のトラブルだったんだと思います。
物理的なデバイスを配送する以上物流のトラブルが起きることは避けようがありません。
(にしても今回は悪い意味で当たりを引きまくってるとは思いますが...)
Snowconeデバイスの配送計画を立てる際はある程度余裕を持たせておくことをお勧めします。
2. 配送業者の年末年始休業
これは完全に私のやらかしなのですが、2021年12月28日に一通りの検証を終え29日に返却しようと西濃運輸に連絡したところ「12月29日から翌年1月5日までは北海道から本州への配送は休みとなります。」と言われてしまい48 USDほど追加費用を発生させていましました。
本州内で完結する配送であればもう少し猶予があったのかもしれませんが「そりゃ年末は配送業者も休むよな。」と後から気が付かされました。
ということで年末年始の配送には気を付けましょう。
3. 日別利用費の請求タイミング
Snowconeデバイスの日別の利用費が2021年12月29日から請求され、逆算するとデバイス受取日(12月18日)の2日後から無料期間の扱いとなっていました。
そしてデバイス返却日当日(2022年1月5日)は請求対象でした。
なぜ2日後からなのかは正直まったくわかりませんが、受取日と返却日それぞれに余裕を持たせての2日間なのかもしれません。
ちなみにCost Explorer上では「Snowball Extra Days」という費目で請求されます。
4. ジョブサービス費の請求タイミング
Snowconeジョブのサービス費はAWSの仕分け拠点への到着日(At sorting facilityステータス更新日)に計上されました。
Cost Explorer上では「Import/Export Snowball」で計上され、詳細は「Snowcone Service and Ship Fee」という費目になります。
- Snowcone Service and Ship Fee - AP-NorthEast-1 - Tokyo : 60 USD
5. 西濃運輸の配送料 (120 USD)
今回ジョブサービス費と同タイミングでSnowballのものと思われる謎の120 USDが請求されていました。
Cost Explorer上では「Import/Export Snowball」に含まれ、見かけ上 180 USDの請求に見えます。
詳細は「Snowball Service Extra Shipping Fee」という費目で前述のサービス費と別れる形となっています。
- Snowball Service Extra Shipping Fee - AP-NorthEast-1 - Tokyo : 120 USD
この請求内容に関しAWSサポートに確認したところ「日本国内における配送業者(西濃運輸)による配送料」との回答を得ました。
併せてSnowcone SSDの場合も同額(120 USD)であることを確認しています。
デバイス一つに対する配送料としてはかなり高額ですが、恐らく大部分は保険料だと推測します。
(一度でもサーバーの類を発送したことがある方なら分かっていただけるかと...)
この配送料については料金ページおよびドキュメントに一切記載が無く、正直あまり納得がいきませんでしたが、誤請求では無いとのことなので仕方ありません。
AWSサポートへは「高額の配送料がかかる以上料金ページおよびドキュメントに正確に明記すべき。」旨のフィードバックをしておきました。
最後に
以上となります。
今回の検証を通してSnowcone自体は非常に面白いデバイスで様々な可能性があるなと思いました。
対して、今回はたまたま私の運が悪かっただけと信じたいですが、日本における物流や請求といったサービスの建付けは非常に粗削りで「多少のトラブルがあっても泣かない」忍耐力と寛容な心が必要だとも感じています。
もしSnowconeを利用した際にトラブルに遭ったりおかしな点を見つけた場合はガンガンAWSにフィードバックすると良いでしょう。[4]
いろいろありましたが、これではじめてのAWS Snowconeシリーズは完結となります。
本シリーズがこれからSnowconeの利用を検討される方の役に立てば嬉しい限りです。